2021年7月ニュース

公共施設等総合管理計画について

 6月市議会の一般質問では、策定作業が進められている公共施設等総合管理計画の次期計画について質疑しました。

 現行計画の問題点

 現行計画は2016年度から20年度の5年間を期間とする初回で、第2期の策定作業が今年度進められています。(1年遅れ)
 現行計画の策定に当たっては、市議会にも特別委員会が設置され審議された経緯があります。その際にも指摘したことですが、その内容には以下のような問題点がありました。
 まず、計画の中にコミュニティセンターの「適正な配置」つまりコミセンが多過ぎるとの考え、市立小中学校における小中一貫教育の導入、施設の多機能化・複合化、PPPが有効な手法の一つであり積極的な検討を進めるべきである、などが記載されていることです。
 これらは本来長期計画や各分野別計画で市民意見を交え議論すべき市政の重要なテーマですが、そのプロセスを経ずに管理計画に盛り込まれています。
 財政見通しについては、歳入の過少見積もりと歳出の過大見積もりがあり現時点で計画との大きな乖離が生じています。長期的財政見通しにおいても、実行される見込みのない道路拡幅・新設計画に伴う費用が多額の計上をされているなど、いわば意図的に将来の「財政危機」を印象付けるものとなっています。
 今回の一般質問でこれらの点について軌道修正を求め、市長・行政との共通理解の形成を図りました。

 改善されている点

 小中一貫教育の導入やPPPへの考え方については、すでにこの数年間に議会や市民からの議論があり、修正されています。公共施設の床面積が過大であり削減する必要があると記載されている点については、学校の建て替えの開始に伴って実態に応じた床面積の確保が予定されるなど、観念的議論から脱却しています。
 今後の財政見通しについても、この数年間の実績を踏まえ実態に近い内容に修正する考えが市長より示され、長期的に想定しなければならない道路計画などについては、現実的な可能性と「計画上の」予定額を区別してわかりやすく記載することを求め、了解されました。

 自治の視点を大切に

 公共施設等総合管理計画が作られた背景には、総務省の強い指示があります。2014年頃より「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」など度重なる通達が出されており、PPPの推進や床面積の削減などを全国一律に求めているのです。この動きは現在に至るまで執拗に続けられています。
 もちろん無駄な「ハコモノ」建設はやめるべきですし、長期的な財政見通しを持って施設の建設や更新を進めていくことが必要です。しかしそれは各自治体の実情や市民生活の必要に応じて進められるべきであり、「地方分権」=地方自治が尊重されねばなりません。
 武蔵野市においては、長期計画を基本に、市民合意のもとで進められることを強く求めます。

総合相談から総合的支援へ

 福祉総合相談窓口

 武蔵野市は2021年4月から福祉総合相談窓口を開設し、これまで「どこに相談していいかわからない」等の課題のあった方々の相談に応じています。相談件数は当初の想定よりも多く、8050問題のようなすぐには解決困難で既存の支援につなげにくい相談も寄せられています。
 この間、8050問題だけでなく、ヤングケアラー、孤立・孤独、若者の自殺など様々な角度から社会的に立場の弱い人たちの存在がクローズアップされてきました。
 また、新型コロナウイルス感染症の拡大によって飲食、旅行・宿泊業界や、派遣や非正規で働く人々が困難に直面しています。緊急対策として実施された家賃確保給付金など国の支援策に対して多数の申請がありましたが、対策の期限が終了した後も続く生活困難に対してどのようにサポートするのか大きな課題となっています。

 市政のうごき

 市では、今年秋の市長選挙を経て来年度から第六期長期計画調整計画の策定作業が始まります。福祉分野全体をカバーする健康福祉総合計画の策定作業も同時期に行われます。
 並行して子どもの権利条例制定作業が進められています。子ども一人ひとりを権利の主体としてとらえ、だれ一人取り残さない・排除しない地域社会を目指す理念の具体化です。
 コロナ禍で表面化した格差拡大や社会的排除は30年間の長期にわたるデフレ進行の結果であり、国政においてはアベノミクス=投機経済化によって実体経済の衰退が放置されてきたことの影響です。これらが市の計画・条例策定を取り巻く情勢です。
 公としての自治体の役割を発揮し、立場の弱い人たちの抱える困難を「自己責任」として放置せず、社会的包摂の理念を具体化することが短期的にも長期的にも求められているのです。

 総合的支援への発展を

 この20年間、介護保険制度や障がい者への支援制度が整えられ、介護や福祉にかかる予算が増額されてきました。基幹となるこれらの制度を大切にしなければならないことはもちろんです。しかし、社会保障給付費の抑制が政権与党によって進められ、介護保険制度などが制約の多い使いづらい制度へと変わっているのも現実です。
 そして、貧困や社会的排除に関わる諸問題は多様化しており、基幹的な仕組みだけでは対応できなくなっています。市の福祉総合相談に寄せられている例はその一端です。
 要介護認定や障害区分認定はまず当事者の医療的診断を元にして困難や「障害」を判定し、その上にサービスの提供を当てはめることを基本としています。弱者に対する社会的排除という視点で見た時、その仕組みだけでは時代と社会の必要に追いつけません。
 市民一人ひとりの困りごとに向き合い、ニーズに応じた支援を進め、必要なら新しいサービスやしくみを作っていく。その継続的な作業をさらに積極的に進めるべきです。既存の制度に合う合わないで市民の困難を捨象することがあってはなりません。その蓄積の上に、平成期に進められた制度構築を根本的に超える新しい大きな仕組みが生み出されるはずです。
 福祉総合相談窓口から総合的支援の構築へと市政の発展に期待します。
 

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