感染症と基礎自治体の役割

 市議会12月定例会では、これまでに引き続き新型コロナ感染症対策における自治体の役割をテーマに一般質問や委員会質疑をしました。
 各自治体で様々な対策が実施されていますが、目先の視点ではなく、戦略的なまちづくりに位置づいたものかどうかが大切と考えています。
 以下、一般質問から分野別にご報告します。

 フレイル、認知症、うつ

 高齢者や基礎疾患のある方の外出や行動の抑制がもたらすものとして、フレイル(身体・認知機能の低下)、認知症の発症・進行、うつの発症などが指摘されています。心身ともに、地域での社会的生活をどこまで維持できるかが鍵になります。障がい者とその家族も同じです。
 市では意識的に介護保険における要支援1・2の高齢者について「いきいき生活度チェック表」を作成し、訪問などによる状況の把握とフレイル予防などの支援を行っています。また、 高齢・障がい分野の市内事業所に対しては、3月の時点から積極的な支援が続けられています。
 できる限り普段通りの生活・活動を持続することが、健康な地域社会の維持に繋がります。
 生活困窮・生活保護の分野では、緊急事態宣言後の4・5月に市の窓口への相談が急増し、その中には若者が多かったと報告されています。5月は500件を超える相談がありました。10月に入っても例年の2から2.5倍の相談が続いています。立場の弱い人たちがおかれた状況の厳しさがわかります。住宅確保給付金などの期限延長もされていますが、感染症拡大の現状を踏まえ、継続した支援策が必要です。


 学校ってなんだ

 3月から5月に及んだ小中学校の一斉休校の影響についても質疑しました。
 教育長からは、授業時間数の減少の問題については、年度末までに学習指導要領の内容を習得する見込みが立っている。ただ、心身への影響の観点からは、長期休業の影響は小さくないと考えていると答弁がありました。
 本質的に、学校ってなんだと考えさせられた一年でした。オンライン学習で仮に勉強が進んだとしても、子どもたちの集団的な学びや育ちの保障の面からはどうなのか。今後のために考えなければならない課題です。
 図書館については、貸出冊数の変化が注目されます。市内3舘合計で7月は対前年比9割弱だったものが、10月には対前年比1割の増加となったのです。「図書館に対する渇望かなと受け止めている。哲学とか歴史の分野の貸出も増えている」との教育長答弁です。感染症拡大は、私たちの社会についてより深く考えをめぐらせるきっかけとなっているのかもしれません。

 商業振興策の深化

 市の商店街、商業者支援については、非常に丁寧な活動が行われました。市職員が事業者訪問を行って、支援策の周知をすすめるとともに、ヒアリングに基づいて次の対策にも結びつけています。今回の支援実績と実態把握が、今後の商店街支援に生きてくると考えます。今後の活動に期待が持てます。    

 文化・芸術活動は決して「不要不急」ではない、「人々の社会的生活には不可欠のもの」(市長)であることを、この1年で再確認しました。施設利用料の減免などを継続していますが、環境整備のためにさらに何ができるか、検討が必要です。

 東町農業公園

 吉祥寺地域に初めての農業公園が吉祥寺東町3丁目にオープンしました。小規模ではありますが、受講生からは好評をいただいているとのこと。都市生活の中で野菜作りを体験することは、いろんな意味のある貴重なことです。制度的に農地の貸借が可能となっていることも踏まえ、活動の広がりに期待します。

 まちづくりの変化

 公園などのオープンスペースの確保に配慮したまちづくりが、感染症の継続の中で重要性を増してきました。「新しい生活様式」はまだまだ手探りですが、持続可能で災害にも強い、過密でなく暮らしやすい都市づくりに結びつけていければ、災いを転じて福となすことができます。
 現在策定中の市の都市計画マスタープランは、来春には1回目の市民意見募集が行われる予定です。皆様のご意見をお寄せいただき、このかんの情勢変化を具体的なまちづくりの進化に結びつけていきたいと考えています。注目と参加を呼びかけます。

 行財政改革

 市の財政援助出資団体については、以下に市長答弁を引用します。
 「(感染症のような問題は)非常事態に直面した際の公共的なセーフティーネット機能の重要性を改めて認識させるものとなりました。この間の一連の取組の中では、止めることのできないデイサービス等の継続や外国籍市民からの様々な相談対応、施設使用料減免によるアーティスト支援など、市が財政援助出資団体と連携しながら対応してきたものも少なくはありません。・・その意味では、財政援助出資団体は、市とともに公共的なセーフティーネット機能を支えるパートナーとしての存在感が増しているとも言え、今後も引き続き関係性を強めていくべきと考えます」 
 この内容を、評価します。

 まとめに

 現在の世界が市場経済を基本としていることは言うまでもありません。その中では、今回の感染症危機のような時、どうしても立場の弱い国や地域、そして人々により多くの犠牲が強いられることになります。
 公の、とりわけ基礎自治体の役割は、きちんとしたセーフティーネットで人々を支えること。そして、医療・介護、子育てから文化・市民生活に至るあらゆる社会資源を活かして地域における市民の社会的生活を支える仕組みを構築することです。もちろんそのためのまちづくり(基盤整備)も不可欠です。
 その役割をしっかりとはたせるよう、これからも活動して参ります。