2018年9月ニュースを発行しました。

在宅か施設か(その2)

PDFはこちらからご覧いただけます・・2018年9月ニュース

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

在宅か、施設か(その2)

 

上記のグラフと表は、武蔵野市の介護保険事業において、要介護(要支援)の認定を受けた方の中で、在宅で介護を受けている方と施設系サービスを受けている方の比重などをみるために、市の資料を元に作成したものです。
要介護4と5では、施設系サービスの利用者が在宅介護を上回っていますが、要介護3では在宅介護の方の数の方が多いことがわかります。
有料老人ホームの利用が比較的多いことが武蔵野市の特徴と言われていますが、この場合は、要介護1程度の段階から利用されていることも見て取ることができます。

現在のかたち

認定者数約6400人の中で、在宅介護のサービスを利用しながら自宅での生活を継続しておられる方が半数近くおられるということは、介護保険制度が始まって約20年間で、この制度が定着して来たことを示すものと私は受け止めています。
また、要介護3においても、在宅生活を継続しておられる方が施設系利用を上回っていること、要介護5でも在宅療養の方が約180人おられることについては、ご本人はもとよりご家族そして多くの事業者の皆様に敬意と感謝を申し上げたいと思います。
要介護3〜5の方の中での施設系サービスの利用の比率は、2015年が約46%であったのに対し18年は約49%と増加しています。これは、市としてもニーズの高い施設系サービスの充実に努めたことが反映しています。同時に、施設系サービスへのニーズが依然として高い(切実である)ことの現れでもあると考えています。

これからのこと

前回のこのニュースで、保育所入所定数の増加と、女性の納税義務者数の増加についてご報告しました。働く女性の数は増え続けており、武蔵野市の給与所得者においてはすでに男性と肩を並べるに近いところまで来ています。これは、これまでのいわゆる「専業主婦」層に頼った在宅介護は難しくなることを意味します。
介護離職が課題視されていますが、当事者のお気持ちとは別に、介護のための離職は社会的には損失の方が大きいと考えます。働きながらの在宅介護という状態をどこまで継続できるか。在宅サービスの充実を進めつつも、一定の限界があることも見ておかねばなりません。
核家族化、きょうだいの減少なども、介護の支える側の減少に拍車をかけます。
先日報告された武蔵野市の将来人口推計においては、30年後(2048年)の市の人口は16万人を超えるとされています。65歳以上人口は5割以上増える見通しです。幸いこの人口推計においては、市内の生産年齢人口はいったん増加し、その後減少するものの、30年後でも約9万人を保つとされており、支える側のボリュームも比較的健全であることが予想されています。
こうしたことを踏まえ、これからの介護のあり方を考えていかねばなりません。

産業としての介護

上の表は、市の産業振興計画の改定にあたり、市内の産業別の従業員数を約20年前と比較したものです。
建設業や製造業の人数が減っている一方で、医療・福祉の分野の人数は倍増しており、そのことによって従業員総数は増加という結果となっています。この20年間での高齢者介護(介護保険)や障がい者支援制度の整備によって、介護の現場で働く人が増加していることがよくわかります。
市内に入居系施設を誘致することは、企業誘致であり雇用の創出であるということがご理解いただけると思います。
また、「ゆとりえ」(吉祥寺南町)のように、特別養護老人ホームなどの入居系施設は、地域の在宅介護や地域福祉、市民のネットワーク作りに大きな役割を果たすようになっています。市内への介護施設整備は、社会資源として見ても、とても大きな存在なのです。
以上のようなことを総合的に考えると、在宅介護サービスの充実に引き続き努めつつも、施設系サービスの市内への整備も継続的に進めることが、市民ニーズにも合致し、地域全体の社会資源の充実にもつながっていくものと私は判断しています。
施設整備は、介護保険料のアップに跳ね返ると言われています。しかし市外への整備も保険料への影響は同じです。地域社会全体への多面的な効果を含めて総合的に検討されるべき問題です。
市では、次期長期計画(第六期長期計画)の策定も始まっています。市民生活の将来について、分野を超えた真剣な議論を期待しています。