地域資源の拡大を踏まえた、新たなコミュニティ作りを

・・・グローバリズムの終焉と、これからの自治体の役割・・・

2017年4月ニュース(PDF)

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地域資源の拡大を踏まえた、新たなコミュニティ作りを
・・・グローバリズムの終焉と、これからの自治体の役割・・・

3月市議会では、「グローバリズムの終焉とこれからの自治体の役割について」と題した代表質問を行いました。戦後世界が歴史的な転換点を迎えている中にあって、これからの自治体の役割は大きくなっています。議論を深める一助となれば幸いです。

介護・子育て事業の進展

この20年間の介護や子育て分野における進展は、地域の中に大きな社会的資源を生み出しています。以下、代表質問における市長答弁から引用します。
「介護保険給付費は2000年の時に39億円であったものが、15年には95億円、つまり2.4倍に大きくなっています。当然このようなサービスの提供が増えてきたということです。介護保険事業者数も152事業所から175に増えてきた、特養ベッド数も110ベッドから322に増えてきました。
障害者関連予算も、2011年に34億だったものが15年に45億円に増加しました。グループホームなども増えてきているし、福祉的就労を行う通所施設も増え、就労支援センターも活発に活動しています。障害放課後等のデイサービスも大変伸びが多くなっています。
子ども家庭支援の分野では、この10年間、保育園の定員を拡充し、おおむね倍近くに増やしてきました。また、多様な子育て支援策の展開として、コミセンの親子ひろばも12カ所、0123の相談事業も対応を増やしてきました。」
もちろんこれらの事業は、国全体で実施されてきたことですが、武蔵野市においてはとりわけ地域包括ケア、障害者支援、子ども家庭支援を積極的に進めてきました。また、これらの分野での事業費は拡大していますが、市財政は堅調を保ち続けていることも合わせてご報告しておきたいと思います。
このことによって生み出されている変化は何か。それは、私たちの地域の中に豊かな地域資源が生み出されている、ということです。それは、様々な福祉施設であり、福祉人材・子育て人材であり、そしてそれらを理解し繋がっている地域人材です。介護の分野でも子育ての分野でも、それぞれの施設や事業は「地域に目を向ける」ことに力を入れ始めています。縦割りで、それぞれの事業だけを実施してきた考え方から徐々に脱しつつあります。
私は、このような変化をこれからの自治体と地域社会の構築にどのように結びつけていくかが大きな課題であり、これは豊かな可能性をもつものだと考えています。

孤立化・無縁化も進む

しかしその一方で社会全体としては、若者や子どもたちの貧困が課題となり、高齢者の孤立も深刻な問題となっています。
昨年、世界を揺るがした英国の国民投票でのEU離脱判断、そして米国のトランプ大統領の誕生。これらのことは、意図的に作られ推進されてきた経済路線である「グローバリズム」の終焉を世界に示すものとなりました。
世界の「グローバル化」が、国家間の協調、自由な往来、人種や民族、文化の多様性を尊重する共生と平和な世界の構築を意味するとすれば、「グローバリズム」はそれとは相入れない路線です。投機(マネーゲーム)と投資の自由化によって各国経済の自立的成長が損なわれ、雇用が失われ、各国内における格差が拡大した現実は、直視しなければなりません。
日本について言えば、戦後70年間の前半期に構築した社会システムやセーフティネットを、後半期で壊してきた過程と言えます。前半期は、中央官僚の主導で、「会社」や労働組合、業界団体、様々な地縁血縁によっていわば「守られた」社会でした。シャウプ税制と言われた分配機能の高い税制の下で比較的公平な分配がなされ、日本社会は急成長しました。1980年代から始まった構造改革と消費税の導入、所得税最高税率の大幅引き下げなどによる税制改悪によって、戦後前半期をいわば自己否定した結果が、現在の日本社会と言えます。
若者の半数が非正規雇用となり、子どもの貧困率の上昇など格差の拡大に歯止めがかからない現状。「自己責任」という言葉はなりを潜めたかに見えますが、若者が十分なセーフティネットのないままに社会に投げ出される現実は、大変厳しいものがあります。
バラバラな個人の「自立」を求めるためには、国が十分なセーフティネットを構築し、教育の機会均等などの仕組みを整えることが不可欠なのですが、残念ながら日本はまだそのようなレベルに達していません。政治の変革、路線転換は急務です。

自治体とコミュニティの役割

そして、身近な自治体とコミュニティに求められるものも大きいと考えます。
先ほど述べましたように、この30年日本社会の「無縁化」が進む一方で、介護保険・地域包括ケア、障害者自立支援、子ども家庭支援など各分野の進展は、新しい可能性を作り出しています。この過程で生み出されてきたすべての地域資源をつなげ、活かしていくことができれば、高度成長期の「縦型」ではない、「横つながり」の地域を作り出す可能性があります。
介護や子育ての現場で働く方々の数は増え続けています。この方々の経験と見識は地域社会の中のとても貴重な財産です。安定した雇用環境を作り、地域との関わりを増やしていくためにも、人材の育成、待遇の改善が急務です。
武蔵野市ではこれまで、「コミュニティ」と言えば「コミセン」を中心としたあり方が意識されてきたと思います。しかし、コミセンという施設の運営を軸とした活動だけでは、すべての地域資源を活かした地域社会構築に進むことは困難と考えられます。
新しい時代の条件下における地域社会の構築を目指して、共に歩みましょう。