若い世代の置かれている状態を見よう

若者の貧困について考え取り組んでいく際には、その実態をつかんでいく必要があると考えます。しかし、高齢者や障害者の実態調査と分析が進んできているのに比べて若者の実態についての調査や研究は明らかに立ち遅れています。

貧困を論じる際に用いられる指標として、相対的貧困率があります。これは、等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯の割合です。「子供の貧困」が最近大きく取り上げられていますが、そのきっかけのひとつは日本における子供の相対的貧困率が高いことが指摘されたことからです。

若者の貧困についてもいくつもの研究がありますが、特に29歳以下の若者の貧困率が高いという指摘には注目しなければなりません。橘木俊詔さん(京都大学名誉教授)などによれば29歳以下の若者(世帯主)の貧困率は、25.9%に達しているといいます。これは2001年の時点での推計ですから、現在はさらに深刻化しているのではないかと心配されます。(30-39歳では、11.3%に改善)

武蔵野市においては、18歳から39歳までの人口はおよそ45000人です(総人口は約14万人)。若い世代の比率が高いことが特徴となっています。この世帯を対象として、仮に全世帯平均の貧困率約16%(2010年、厚生労働省)、を当てはめた場合、7000人を超える人たちの存在が浮かび上がります。相対的貧困の基準は、生活保護基準とほぼ同等(阿部彩さん・国立社会保障・人口問題研究所)といわれますので、国の定めた最低生活以下の水準で生活する人たちが多数存在するということになります。

働き方の問題も大きくなっています。正規雇用が減少していることは知られています。15歳から24歳の若者で大学などに在学していない人たちの中では、無業あるいは非正規雇用の人の比率が95年ころから上昇しています。2002年以降は、男性で44%、女性で55%程度となっているのです(早稲田大学永仮正和さん)。18歳から22歳の若者の学卒後の就業状態では、正規雇用に定着する人の割合は男性で約55%、女性で約46%ときわめて低い割合となっています(同)。このような状態が続くことは、日本社会全体に非常に大きな負の影響をもたらすでしょう。