決算委員会報告その7・・教育費

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インクルーシブ教育と「21世紀型能力」の関係について

学校施設の複合化についての意見

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【山本委員】  教育長と、それから市長にも伺っておきたいと思います。第二期武蔵野市学校教育計画が出ています。なかなか難しいと思いますのは、前提としてのこの間の教育にかかわるさまざまな動きというところで、2番目に障害者基本法の改正等特別支援教育に係る法改正等という内容がありまして、この内容は共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築という内容が出ています。こちらにはまずそれを挙げています。その後、3番目には、今度は逆に、21世紀型能力、日本型資質、能力の枠組みということで、いわゆる生きる力、21世紀型能力ということが強調されてきたということが、その次のところにぼーんと出てきています。

つまり、教育を取り巻く環境ということを考えたときに、私は超頭が単純なので単純に言いますと、2つのことが同時に進行しているという感じを持っています。つまり、そのインクルーシブ教育等々というのは、わかりやすく言うと、映画で言うみんなの学校ということです。地域の学校であり、みんなの学校という、こういうふうに単純化し過ぎてはいけないのかもしれませんけど、私の認識ではそういうことです。こういうところが、特別支援教育の再編に伴って、学校教育全体に非常に大きな影響を持たざるを得ないようなところに入ってきているという面と、それから、これも私の理解ですけど、21世紀型能力というのは、つまり選別教育のことだと思うのです。単純にいえば。これは御見解があれば伺っておきたいと思うのですけど、要はエリート教育につながっていく内容で、この間、安倍政権が中心になって、特に色濃く出してきている内容で、英語を勉強しなさい、それから文科系は要りません、学校選択制、小中一貫等々の流れがその辺にはずっとあると私は思っています。

この2つのことが一遍にその学校に降りかかってきているということを、どういうふうにして考えて、どういうふうにして武蔵野市においては運営をされていくのかというのが極めて大きな問題になっていると思っています。それが、その後の具体的な武蔵野市ではどうするのかということをずっと読んでいくと、全部まざってあらわれるのです。入れかわり立ちかわり、その両方の面がぐるぐるあらわれる。例えば重点的な取り組み、重点1、個に応じた指導の充実となってきます。この中にも、発展的な学習内容の充実という内容と、学習のつまずきのある子どもたちへの支援の充実を図りますというふうに、これは両方入ってくるわけです。最後までこれが続くわけです。ですので、非常にややこしいことになっているなというのが1つ。このことについての御見解を伺っておきたいと思います。

私は、いずれ教育というのは、こういう矛盾したことが両方あるのだろうなと思っています。それは、特に武蔵野のような状況において、みんなの学校がストレートにやれるかというと、きっとそうでもないのでしょう。難しい面もあるし、本質的に教育というのは、ある意味能力のある子を育てるという側面もありますので、常に両方をはらむ問題だとは思っているのですが、基本的に、でも矛盾している2つのことをどういうふうにとらえて解決するのかというのは、解決の仕方は大事な問題だと思っているのです。ですので、ここについて対処をしていただきたいということです。そこまででとりあえずお願いできますか。

 

【宮崎教育長】  ただいま学校教育計画を、非常に本質的な部分を読み取っていただいておりまして、本当にありがたいなと思います。今、山本委員がおっしゃったように、現在、学校教育に求められているものというのは、そういった意味では大変幅広いものでもあるし、非常に対応すべき対象が細やかに分かれているものなどもあるのかもしれない、そんな気がいたします。簡単に言いますと、一種のユニバーサルデザインとしての学校教育ということを考えますと、学校で行われているすべての教育活動は、可能な限り多くのニーズに対応できるようにする。公立学校の場合です。私立はちょっとそこは違っておりますし、宗教的なもので限定したりとか、いろいろな建学の理念で限定したりすることはございますけれども、公立学校が行う公教育は、そういったところをなるべく幅広くとらえて、最大の支援をしていけるという水準をつくり出していくわけでございます。

そうしたときに、そのインクルーシブ教育ということもありますけれども、外国では、教育の場合に、例えば障害のある方への教育ということもございますし、そうした教育の概念の中にはギフテッドへの教育。つまり、日本では余り強調されませんけれども、非常に能力の高いお子さんに、どういう教育をしていくかということも実は含んで考えているわけでございます。そうすると、例えば飛び級とかそういうのを大体日本では嫌うのです。すごく優秀であって、小学生だけど、この子は大学に行かせようということは、みんなそれはすごいねとは言うかもしれないけど、ぜひそうしようかとなかなか言わないところがあって、やはり人間というのはある時間を経て成長していく何かがあって、それとともに、その人間としての人格の中に能力が入ってこそ意味があるというようなところが実はあるわけなのです。こういう考え方なんかもありますので、日本ではそういうギフテッドへの教育というのは余り行われていないところがありますけれども、ただ、教育そのものは、子どもたちのさまざまな発達特性に応じたものになければいけないところがございます。

そうすると、今おっしゃったような、例えばインクルーシブ教育システムといったものも必要になりますし、と同時に、これからのそういう子どもたちも含めて、すべての子どもたちを伸ばしていく。エリート教育と私の場合は思っておりませんけれども、非常に汎用性の高い能力をつけていく、これは大事であるということは言われております。

21世紀型の能力はその一つなのでございますけれども、ちょっと話がわかりにくくなるかもしれませんが、学校で学んでいることというのは、先ほどちょっと教科が縦割りになっているという話をしましたけれども、それを超えてというようなお話をちょっと別の答弁でさせていただいたのですが、どの教科でもこういう力はついていくのだ、またつけなければいけない、活用しなければいけないという、そういう能力もあるわけです。それは広く言うと問題解決能力であったりとか、いわゆる関係性をつくり出す、見出していく能力であるとか、そんなものというのは、別にある教科だけでやるものでもない。こういう実は汎用性の高い能力というのを高めていこうというのが、実は今目指している21世紀型能力の大きな考え方の一つだろうと思っております。

これは、実はある発達特性があって、ひょっとしたら発達障害ということも言えるのかもしれないというお子さんであっても、もちろんそこにも求められる力でございます。基礎・基本、いわゆる読み書きそろばんといったものを身につける。それをどうやって活用させるかという、そういう活用能力を身につける。最後は、さらに三層目です。三層構造と言われる三層目は、これらの力をどう生かすかという力を身につける。これは道徳とか、市民性とか、そういったものが生きてまいります。

だから、そういった面では、私は、学校に対しては非常に多くの期待がされてくるし、多様な子どもたちのニーズに応じていくということが必要とされるであろうけれども、でも、それらは大変難しいけれども、それらにきちんと対応していくことがユニバーサルデザイン化された学校教育というものを生み出していくことになるだろうと。みんなの学校というのも、その一つであろうと思っているところでございます。決してここではできないとかそういうものではなくて、学校教育であればそういうものも包摂されるであろうと、そういう考え方を持っております。

 

【山本委員】  市長に伺いたかったのは、市長も教育会議に参加をするメンバーになりましたので。もう一つは、武蔵野市においては、地域リハビリテーションという流れもありますし、市政における基本的な考え方もあるわけですから、その辺との関係も当然あると思って、今、教育長に伺ったことと同じことを伺おうと思ったわけです。

 

【邑上市長】  学校教育計画については、これは教育委員会で定めてあって、子どもたちの教育をどうしていこうかという基本的な方向性だと思っております。ただ、委員御指摘のとおり、総合教育会議をスタートし、私も教育委員の皆さん方と一緒にこれからの大枠での教育の方向性を議論してまいりましたし、大綱というものも制定いたしました。当然、大綱を制定するに当たっては、ちょっと後先になりましたが、こちらが先にできておりましたものですから、当然これも見ながら、整合のとれるような大きな方向性を再度設定をしたと思っています。

その中でも、大綱については、学校教育だけではなくて、障害学習も含めた、一般市民を含めた対象となっております。要するに全市民を対象とした、生涯学習も含めたものだと理解をしておりますが、その中に、やはり基本をなすものは、子どもたちへの教育であることは間違いないと思っております。あわせて、その中で理念的に掲げたものが、子どもたち一人一人を大切にするのだということを掲げておりますし、また、子どもの最善の利益を尊重するということをまずもって考えなければいけないと思っています。

したがいまして、委員御指摘のとおり、さまざまな立場の子どもたちがいるわけでありますが、その個性を尊重する、個性を生かすような教育をこれからも進めていくべきだということで大綱等に至っていると考えているところでございます。

 

【山本委員】  了解しました。ありがとうございます。その21世紀型能力という中にも、そう単純ではないという、余り私のように決めつけてはいけないということだったと思いますが、それもそうなのかなと。ただ、読んでいると、本当に読めば読むほどわからなくなってくるのですが、ちょっと単純化しないとわからないので、私なりに頭の整理のために単純化をしてみたわけですが、教育長の言われるように、いろいろな側面がこの中にもあるということは、そうだと思います。要は、簡単なことです。矛盾した問題がいろいろある中で、1つは、余り複雑にしないでいただきたい。重点的な取り組みの重点1というのは、私は現場にいると結構困ると思うのですけど、非常に複雑なことに下手をするとならないかという心配がありますが、そこだけ、余り内容に立ち至ってはいけないといつも思っていますので、現場で実際にはなるべくシンプルに、小学校、中学校の違いもあると思うのです。重点の違いは当然あると思います。小学校は、私はみんな学校という側面を強く持たせるべきだと思っています。現実的に考えれば、中学校で変わっていかざるを得ないのかという現状が残念ながらあるということは踏まえた上でも、小・中の違いもあると思います。やはり現場の方たちも対応については、余りややこしいことにならないように十分御配慮をいただきたいと思いますが、その点についてもう一度御答弁をいただきたいと。

 

【指田指導課長】  ありがとうございます。この重点1のところは、タイトルにありますが、算数、数学等の習熟度別少人数指導の中で、例えば数学が得意なお子さんのグループでありますとか、それから数学が苦手なお子さんのグループがあります。その中で、それぞれの子どもたちの能力を高めていこうという形で書かせていただいたものでございます。ですから、かなり学力の、特に算数、数学等の学力向上の中で、このような発展的な場面と、それから基礎・基本の場面でさらなる充実を図って、子どもたちの能力を高めていこうという趣旨で書かせていただきました。

 

【山本委員】  わかりました、ごめんなさい。

それで、次のことに行きたいと思います。学校施設の長期的な再編の問題なのですが、この基本方針というのが出されていて、これが次には基本計画になっていくということを伺っています。ただ、その中で、一つ私が気になっているのは、複合化の問題です。これはちょっと気になっていますので、お考えを伺っておきたいと思います。学校教育基本計画の中には、学校の側からの要請として、学校教育にとって複合化が必要であるという書き方は見受けられないような感じがしております。これ、もし違っていたら教えて。現状の学校教育の中で、施設を複合化することは求められているという内容は、この教育計画の中にはないような感じがするのですが、その点についてのまず1つ確認です。複合化の問題があるとすれば、そうすると、地域の側、あるいは市政の側の要請として、それがあるのかなという感じがしますが、そういう理解でいいのかどうか。もちろん、地域の学校であり、地域に開かれた学校経営でありということは前提の上ですよ。閉鎖的にしろと言っているわけではありませんし、別に施設を一緒にしなくても、地域との関係、コミュニティの問題、子育ての問題、福祉の問題もすべてやれると私は思っているのですが、学校教育の側からの要請としてということではどうでしょうか。

 

【宮崎教育長】  この学校施設整備基本方針は、この中には学校教育の関係者も一緒に委員として参加して施策を定めているものでございます。そこで、総意としてこれをまとめていったわけでございますので、学校側で機能の複合化について全く要望していないというようなことでもないところはあると思うのですが、ただ、機能でも、学校が多分考えるのは、学校教育と非常に親和性の高い機能、例えばこういう施設が一緒にあると福祉教育に大変役立つとか、そういう市民性の中でも、こういうものを育てるものに役立つものとか、そんなことというのはあるかと思います。ですから学校のほうも、必ずしもいろいろな機能を複合化させることに反対だということではないと思います。ただ、全く学校教育と関係ない何らかの公的な機能をそこにとなってくると、それはちょっといかがなものかというようなお考えはもちろんあると思いますけれども、その機能によって学校教育としても受け入れられるものというのはたくさんあるのだろうと思います。

 

【山本委員】  これは一部に、学校施設を複合化すればあれもできる、これもできるみたいな御意見もあるのです。それは私は大変気になっているので、あえてその念押しも含めて申し上げているわけです。確かに、場所もある、広さもある、高さも一定上げられるかもしれない。そうすると、物としては、いろいろなものが入れられる、物理的には。だけど、そういう考え方でいくことが学校の教育ということについてどうなのかということについては、やはりよく考えて進めていただきたい。もちろん、教育センターができるとか、給食の自校調理場ができるとか、そういう話は別です。だけれども、その辺は、学校教育というところから考えて進めていただきたいということを強くお願いをしておきたいと思います。幸いに、この次の段階で出てくる施設整備基本計画(仮称)に当たっての留意事項の中には、複合化ということは入っていないですので、余り現実的に、今すぐということにはなっていないのかなと理解をしていますので、その辺は慎重に進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。