こども東北学_表紙

「東北学」という礫(つぶて)
「雑誌『東北学』が創刊されたのは1999年だった。わたしはそのころ、町のちいさな民俗資料館で仕事をしていた。21世紀になって、わたしの故郷の『衰退』は、火を見るより明らかだった。・・どうしようもない気持ちで毎日をやり過ごしていた。
そんなとき、『東北学』という礫があることを知った。」(著者「あとがき」にかえて)
その後著者は大学に合格し東京に出る。そして2011年3.11東日本大震災。本書はその年の11月に発刊された。
著者が故郷東北を見つめる視点は、「足もとの歴史」。決して美化することなく田舎の共同体のたどってきた道を見つめる。「この土地の地層深くには、癒しがたい、いくつもの『傷つき』が眠っている」そして3.11はその最新のもの。
僕も田舎の出身だ。田舎の生きづらさがいやで都会に出た。でも・・「都会には都会の生きづらさがある」という著者に共鳴する。都会では「個人」と「競争」が優先される。
3.11を経て、「荒野」を「生きられる風景」へと変えられるのは若者たちの力だと、著者は結論づける。農業と漁業を大切にして。このメッセージが若者たちに届くことを信じて。